彼女のための選択

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記事コピーが並ぶ机を青ざめた顔でじっと睨んでいた彼女が、わなわなと震えだした。 「本当にさっぱり分かりません。ひどいです……。男性から声をかけられて、お付き合いしただけです。それだけなのに、こんな疑いをかけられるなんて……」 今度は被害者を演じるつもりらしく、彼女は目に涙を溜めた。 「やっかまれることが多いから今までも色々嫌な思いをしてきました。でも、こんなのあんまりです……」 両の目から大粒の涙がはらはらと落ちる。 自在に涙腺を操れるとは、女優にでもなれそうだ。 しかし、余裕をもって眺めていた僕は、次のやり取りで静かにキレた。
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