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でも、ここで激昂して底の浅さを露呈してはいけない。
堀内嬢にしてみれば“死なば諸とも”で、もはや逃れることは難しいと分かっているが、自分一人が沈むのは癪に障るのだろう。
僕との間を裂いて江藤奈都にもダメージを与えてやれと。
「裁判にご興味が?」
「……え?」
「僕の取り調べではスリルが足りないようで」
怒鳴り散らす代わり、にっこり笑いかけた。
「寛大に対処する道もあったのですが、あなたがお望みなら仕方がない。事を大きくせざるを得ないようです」
徹底的にネチネチ苛めてやる。
自分のねちっこい性格に感謝するのは初めてかもしれない。
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