彼女のための選択

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「次回も皆川さんはいらっしゃるんですか……?」 視線や声に媚が混じるのは、男を利用する習性が染み付いているせいなのだろう。 気の毒だが、もう一度釘を刺す。 「言い忘れていました。個人の追跡は簡単です。漏洩・不倫その他、また繰り返しているのを見つけたら、その時は二度と社会に出られないよう徹底的に潰します。二度とお目にかかることがないよう、願っています」 「はい……」 「個人的な意見ですが──」 ドアを開けてやりながら、しおれてしまった彼女にあまり有り難くはないだろうが餞別の言葉を添えた。 「女を顔で選ぶ男の器は知れています。内面を磨いて歩んでください。ご多幸をお祈りしています。では、僕はこれで」 何か言いたげな目に軽く会釈すると、僕は背中を向け人事大部屋に向かって歩き始めた。 少し遅れて、弱々しいヒールの音が廊下を遠ざかっていった。
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