彼女のための選択

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僕は三枚のうちから最も日付が新しい一枚の記事を抜き取った。 古い二件のみならば、他の三名の基準からしても東条は処分を免れるはずだ。 コーヒーを汲みに立ったついでにコピー室に寄り、シュレッダーにスイッチを入れた。 僕は仕事ばかりの味気ない男だ。 女性とはドライな付き合い方だったし、甘い言葉をかけたこともない。 だからこれで最善なのだと思う。 “明後日、来られますか?“ バトンタッチへのカウントダウンだ。 彼女に一言だけのメールを送り、壁にもたれる。 記事が細かな紙屑になる音を聞きながら、僕はコーヒーから立ち昇る湯気が揺れるのを眺めていた。
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