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二つ目の理由は──。
言葉にすることを放棄した僕は、デスクに置いた携帯を取った。
既読メールの整理をしながらスクロールしていく。
“江藤奈都”
僕はこの名前を探していたのだろう。
数日前のメールまで来た時、僕の指は止まった。
本文を開くまでもない、無愛想にたった一言“帰りました”のみのメール。
出会いの場を台無しにされて、彼女はさぞかし僕に腹を立てていたことだろう。
彼女の膨れっ面を思い浮かべて少し緩みかけた僕の唇は、また一つ静かなため息を漏らした。
あの後、彼女のメールを見て完全な安心を得た僕は、ようやく事務ロボットのような普段の自分に戻った。
“また連絡します。よいお年を”
今読むと“よいお年を”が妙に慇懃で滑稽だが、他に何が書けるだろう?
再び視線をパソコン画面の記事に戻す。
これで、この仕事が決着する。
彼女の保護者でいられる時間は、もう潮時を迎えるのだから。
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