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でも、彼を救うということは、同時に彼女を失うということ。
そのジレンマが、僕に何度もため息をつかせる。
待機に切り替わっていたパソコン画面を再びアクティブにして、記事を眺めた。
本格的に犯人を問い詰めるのは年明けになる。
今ならまだ彼を黒にできる。
彼を追放すれば、最初は恨まれても、誘導されやすい彼女なら言いくるめるのは簡単だ。
なし崩しに僕のものにしてしまうこともできるだろう。
ただし、それはいつか破綻する。
とどのつまり僕は年中重箱の隅をつつき回して小言と嫌味を連発する男であって、別の人格にはなれないのだから。
変わろうとすることが正しいとも思わない。
僕のエゴで彼女を閉じ込めるか、彼女の望むものを置き土産にして去るか。
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