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「僕を見て下さい」
きっと彼女はこれ以上耐えられない。
それは、指示のようでいて実はギブアップの瀬戸際にいる僕の苦し紛れだった。
しかし、再び目を開けた彼女は僕を見つめて息を吸い込み、ボタンを外した。
心の内でうめく僕の目の前で、さらに彼女は最後のボタンに指をかける。
その瞬間、負けを悟った。
最初から負け試合だったのだ。
彼女の腕を掴んで力任せに引き寄せると、彼女は不意を突かれて僕の上に倒れこんできた。
ひとたび触れてしまったら、もう歯止めがきかない。
彼女の頭を押さえこみ、唇を乱暴に塞ぎながら、驚いて身を強ばらせる彼女の肩から袖を引き抜く。
僕のシャツ越しに、薄い下着だけになった彼女の肌の生々しい温もりが感じられた。
いっそう濃くなった彼女の香りも。
それはキスの間に柔らかく僕の身体に絡みついてきた。
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