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床に落ちたワンピースを掴み、顔を背けながら彼女の身体に無造作にかけてやる。
「皆川さん……?」
ベッドを離れようとする僕の背中を彼女のかすれた声が引き留めた。
「あなたの誘惑は十分魅力的でした。十分すぎるぐらいに」
「待って……!」
出口に向かう僕の背後で、起き上がったのだろう、彼女の声が揺れた。
「私、後悔しないって言いました」
「あなたは経験が少ないから流されているだけです」
頼むからこれで納得してくれと願うのに、彼女の反論は止まない。
「流されてません!だって私は」
「僕が後悔するからです。すみません」
勢いは彼女の方が遥かに優勢だった。
間断ない言葉のやり取りに、たまらず遮った。
ただ苦しくて、本音が漏れた。
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