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彼女といると退屈しない。
この二ヶ月は、一緒にいない時間も、僕はしょっちゅう心の中で笑っていた気がする。
この先はまた元の静かな生活に戻るんだなと考えると、予定なら厄介払いしてせいせいするはずが、今の僕は随分違ってしまっていた。
でも、それは時間が解決する。
「彼はあなたが僕に裏切られ、利用されて傷ついていると思っているはずです。彼も同じ境遇ですから、あなたに手を差しのべるのでは?」
じきに僕は彼女を忘れ、元の生活に戻るだろう。
最後のアドバイスを口にしながら、僕はそう考えようとしていた。
これまで香子や他の女性との別離で後を引かなかったように、今回もそうに違いない、そうでなければ、と。
「あなたが素直に振る舞えば彼とは進展すると思います。あなたに足りないのは自信だけですから」
コーヒーを飲み終えたら彼女を送り届け、そうして終わるのだと。
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