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しばし身動きが取れなかった。
呼吸すらもできなかった。
そう来るのか、と。
「私に自信を下さい」
そんな僕に彼女が追い討ちをかけてくる。
彼女の言う“自信”と“最後のレッスン”が何を意味するのかは互いにわかっている。
バーで彼女は経験値が低いことを嘆いていた。
それで見ず知らずの僕に声をかけたのだから。
彼女は言葉でのレクチャーではなく、実体験を求めていた。
目の前にある東条とのチャンスに、最終的なスキルを上げて臨みたいと。
だとしても──。
彼女の要求に言葉を失う。
男ならまだ理解できる。
でも、女はそういう生き物なのか?
まして僕は彼と彼女を欺いた“敵”なのに。
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