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しばらく躊躇していた彼女が、目を閉じて深呼吸をした。
再び目を開けるのと同時に、その手がゆっくりと上がり、上着のボタンに指をかけた。
震える指が一つ、二つとボタンを外していく。
ジャケットのボタンはすぐに外し終わり、ぎこちない動きで彼女が袖を抜くと、下からは前開きの薄いワンピースが現れた。
少し迷うようにためらったあと、彼女は脱いだジャケットを床に落とした。
たかがジャケットを脱ぐだけの動作なのに、彼女のためらいがかえって二人を包む空気にねっとりと肌にまとわりつくような湿り気をもたせ、僕を圧迫する。
部屋は完全に沈黙していて、二人の息づかいと衣服のこすれる音がはっきりと感じられた。
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