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自宅では、いくら仕事に没頭しようとしても、正面に必死で企画書を作る彼女の亡霊が現れる。
リビングに立ち、僕を責めていたあの日の彼女の涙がまざまざと思い出されてしまう。
誰かの恨みを買うのが辛いのかと問われれば、ノーだ。
叩かれるのが企画の仕事なら、嫌われるのが人事の仕事だと僕は思っている。
誰にどう思われようが一向に平気だし、これまでは何の感情もなく背を向けて次の依頼先へと立ち去ってきた。
なのに、今回は何が違うのか。
どう否定しても、これは仕事云々の話ではない。
この半月、僕は予定外に彼女に執着する心と、そんな心を処理できない自分に手を焼いていた。
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