ずっと、僕の傍にいて

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今日は香子にとって奈都と顔を合わせる最後の機会だ。 懇親会で香子は奈都に事実とは違うことをほのめかしたようだが、香子の性格なら自分の過ちをうやむやにはしない気がした。 角を曲がると、正面に自宅マンションが見えてきた。 あの日、二人はどんな思いでこの景色を歩いたのだろう。 僕が拒絶した夜、強気な態度で部屋を去った香子の震える声。 香子に牽制されながら僕の部屋を訪ね、服を脱いだ奈都の表情。 それぞれタイプはまったく違うが、芯の強さを持っているところは同じだ。 同時に、自分の至らなさを改めて思う。 女は男より潔い。 今日、二人に会話があったとしたら、きっと清々しいものに違いない。
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