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いったいどういう還元作用を期待したのか、奈都によると炭化したカボチャに焦って水を足して再度煮たら、無事だった部分まで焦げ味になったらしい。
「あの、残して下さい」
企画書を破り捨てられたといって半べそをかいていた彼女を知る僕に、そんなことができる訳ない。
「大丈夫ですよ。ちゃんと風味は残っていますから」
彼女が失敗する相手はいつも僕でないと。
意味不明な自負心と共にカボチャの焦げ煮を賞味している最中、僕の携帯にメールが入った。
「どうぞ、見て下さい。急ぎかもしれないし」
頻繁に仕事のメールが入ることを知っている奈都が僕を気遣う。
「失礼」
けれどメールを一目見た僕はすぐに携帯を置いた。
「急ぎではないようです」
メールの主は弟だった。
4月11日の野球のナイターチケットが取れたので、その晩一家を泊めてくれないかという内容だ。
弟夫婦には幼い子供がいるので、時々そういうことがある。
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