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弟来訪を断るか?
いやいや。
そもそも奈都のことを隠す必要がどこにあるだろう。
「あ、そういえば来週が企画会議だから、今週末はまた企画書でリーチです。だから引っ越してる余裕がちょっとないかも」
一人脳内会議をする僕の前では、今さらになって奈都が引っ越し拒否路線でうだうだと言い始めている。
湯呑みを置き、箸を軽く揃えて奈都に笑いかけた。
「ごちそうさま。いつもありがとう」
いつもこの時、奈都は照れた笑顔を見せる。
この笑顔がいつも僕のそばにありますように。
僕は何につけても理屈をこね難癖をつけるが、この願いをはっきりと自覚した時、ある未来にストンと落ち着いた。
ああ、そうか──。
それはごく平凡だけど、目の前が開けたようにとてもシンプルな答えだった。
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