ずっと、僕の傍にいて

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でも、それを彼女に伝えるのはもう少し先。 しばらく先ほどの答えを反芻していた僕の頭が、具体的な計画を組み始めた。 公的には急がない方がいい。 特に彼女の会社関係は慎重に時間を置かないと、東条の無罪放免に疑いを持たれてほじくり返されては困る。 まあ、あのやる気のない課長なら、ニヤニヤしながら見て見ぬふりをしてくれるか? それはそれとして、引っ越しは弟来訪に間に合うよう、今週末か遅くとも来週末に済ませたい。 「では、その企画書は今晩中に済ませましょう」 引っ越しを急ぐ理屈は次の通り。 一つは、彼女のアパートのセキュリティが甘すぎること。 それから、彼女のアパートを残したまま中途半端な通い状態を続けさせるのは無責任だと思うから、僕の意志を家族に示したい。 彼女の住居費の節約にもなる。 ついでに、正当とはいえない裏理由はこれ。 甘々王子との密着出張もあることだし、そのうち奈都が目を覚まし、嫌味男に愛想を尽かすこともあるだろう。 弟来訪の機会を有効に活用し、包囲網を固めるべし。
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