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団欒
「ただいまー」
夜になって、夫の健太郎(けんたろう)が勤め先の野菜工場から帰ってきた。
人工光源による植物生産は、太陽の無いこの社会にとって非常に重要な作業だ。
「パパおかえりー」
陽向が健太郎の出迎えにドタバタと走っていった。
「今日ね、お星様にお願いしたの。」
「へー、どんなことお願いしたの?」
「あのね、おひさま隠さないでくださいってお願いしたの。」
健太郎がちらっと日奈子を見たがすぐに視線を戻した。
「そっか。それでどうしたの?」
健太郎が優しく聞いた。
「えっとね、えっとね・・・」
陽向はどう説明しようかと一生懸命考えているようだった。
「おひさま”まだ”出てこないって」
「そっかー。じゃあいい子にして待ってないとね。」
「うん。」
陽向が元気よく返事をした。
そこに日奈子が夕食を運んできた。
「はーい、ご飯ですよー。手を洗ってきなさい。」
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