やればできる子

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 僕は、家に帰り、悩みを打ち明けた。両親は、気にすることは無い、容姿など大人になれば変わるし、身長も父さんに似れば、きっと高くなる。学力も、人より優れなくてもいいんだよ、と優しく諭してくれた。大事なのは、好きなことを頑張ること。あなたはやればできる子と、母が優しく微笑んだ。  僕は、嘘だと思った。頑張ったって、どうにもならないことは、この世にたくさんあるのだ。  学校帰り、今日も苛めっ子にさんざんとからかわれて、憂鬱な気分のまま、家路を歩く。憂さ晴らしに小石を蹴ると、水が撥ねて、川に吸い込まれた。と、その時、不意に後ろから物凄い勢いで、被っていた帽子がひらりと頭から離れた。 「よう、宇宙人。帽子被って、おでこを隠したつもりか?お前のこと、みんな宇宙人だって知ってるんだから、無駄なことはやめろ。」 そんな、わけのわからない言いがかりをつけて、苛めっ子は、僕の帽子を指でくるくる回して弄びながら、ニヤニヤ笑っていた。 「...か、返して、帽子...。」 僕は、そいつに近づいて、帽子を取りかえそうとすると、そいつはヒョイと避けて、僕は前のめりによろけてしまった。その様子を見ていて、周りの腰ぎんちゃくたちが笑った。 「返してほしけりゃ、取り返してみろよ。」 そう言いながら、河川敷を走り出した。 僕は、そいつらを追いかけながら、泣きそうな顔で、返してと繰り返す。頭が痛い。キリキリする。 「やーい、弱虫!弱虫宇宙人ー。」 そう囃し立てながらも、笑いながら、僕の帽子を仲間に投げた。     
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