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僕は、今度こそ取り返そうと、そっちのほうに手を伸ばす。
すると、そいつはまた仲間に帽子を投げ渡す。頭が痛い。キリキリキリキリ。
僕が頭をかかえると、一番ボスの苛めっ子がけらけら笑い出した。
「なんだよ、泣いてんのか?弱ええええ。名前と大違いだな!」
違う、泣いてなんかいない。頭が痛むんだ。キリキリキリキリキリキリキリキリ。
帽子はまた、他の仲間に投げられた。
「返して、返してよ、僕の帽子。」
すると、その帽子をパスされた仲間は、またボスに投げ返す。
頭が痛む。キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ。
「....返せええええええええええ!」
僕は今まで出したことのないような、声が自分の口から出たことに驚いた。
そして、何よりも、僕の咆哮に、ボスと腰ぎんちゃくの仲間達も驚いて、一瞬静かになった。
「な、なんだよ。お前なんて怖くないからな。」
そう言うと、ボスは僕の胸を突き飛ばそうとした。
頭が、頭が、頭がああああああああ。キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ。
気がつくと、僕の目の前は真っ赤になっていた。地面には夥しい、真っ赤な血が流れており、四人の少年達がぐったりと、微動だにせず、倒れていたのだ。
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