魔王、社会に出る。

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「ちょっと藤本クン!はしたないわよ!」 あれは、総務課の鬼パトロールBBA渡辺魔王と呼ばれている課長だ。 「ヤバイ!おい魔王!頼む守ってくれ!」 人間を守るのは初めてだ。今先輩の活動を邪魔されれば我の仕事も失ってしまう。 「(ボソッ)魔王対決」 ー帰社中ー いや、来ない方がいいですよ。まさか先輩と帰り道方面が一緒だとは。 「いやいやいや!魔王の家って気になるじゃん!やっぱ城とか洞窟とか!?」 普通の1ルームですよ。異世界では城とかあったけど。 てか大丈夫すか? 「ああ、あのBBAもう暴力制裁が常識になってんな、今度起訴でもするか」 会社も社員もやりたい放題だな。 「これが魔王の城か・・!」 家です。そこは我が勝手に根城にしている空きコンテナだ。 この世界に降臨してから約2年、ずっとここで生活している。 外見と肩書でどこにも住めなかったのだ。 幸い魔王というモンスターなので食事などは必要ない。 あっちでは生贄とかやってたけど、あれは代々伝わる恒例行事みたいなもんだし。 あんまり人多いとこだと警察とか来るし。コスプレって言い訳も限界あるし。 「うし!決めた!俺ここに住むわ!」 え!? 「将来的にな!俺がここ買えばお前住所不定じゃなくなるだろ?」 え!?え!? 「決まりな!」 こうして魔王と人間の奇妙な生活は始まった。
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