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「今夜は星が綺麗だから見に行かないか?」
恋人に誘われて車を走らせること一時間半。
両脇を牧場に囲まれた農道の脇に車を停め、浩一がライトを消す。
星を見に来るのが好きで、今までも二人で何度か来たことのある場所。それなのに、先程から緊張したように口数が少ない彼。
私の方が先に車を降りた。
「……綺麗」
新月なのだろうか。辺りに月の姿は見えず、だから余計に星の瞬きが増す。
遅れて彼も隣に並び空を見上げる。
「星が多すぎて、星座が分からないよね」
いつもの台詞を今日も言う。
「ああ、そうだな……」
同意する彼に違和感を持つ。
今日の浩一はやっぱり変だ。
いつもの彼なら『それ、毎回言ってる』と呆れながら突っ込みを返すのに……。
不思議に思って彼を見詰める。
星明かりに照らされ、彼の表情も分かる。
「ん?何?」
視線に気付いた彼が目を合わす。
「ううん、何でもない」
そう言って私はまた空を見上げた。
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