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ちゃぷんと片手を湯につけて、ゆっくりかき混ぜる。すると、波だったお湯から花の香りがたちのぼってくる。まるで紫音から香っているようだ。
「遊んでないで、出ててってば」
「もうちょっと眺めてから」
パシャンと指先で湯をはねさせたら、紫音がビクッと肩をすくめた。
しろい肌がみるみる淡い桃色に色づいていく。
「み、見るのやめて・・・・」
「あんた、顔真っ赤」
お湯の薔薇色は、溶け広がった温泉の素。
それなら紫音の桃色は?
光稀は神魔の長い指先で、紫音の頬にかかった髪を払った。
「紫音の中では何が溶けだしてるんだろうな」
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