とろけるキスを君の心に 後編

42/74
前へ
/248ページ
次へ
ーーーーーー 「大丈夫か、あんた」 駅地下で晩ご飯をすませて家に帰り着いたら21時を回っていて、紫音は玄関の上がり框にへたり込んだ。 (つ、疲れた・・・・) ぐったりと壁にもたれる紫音の顔を、疲れさせた張本人が心配そうにのぞきこんでくる。 光稀はまだ神魔の姿だ。 明日になれば戻ってるからと言って、そのまま家に帰ってきた。 (知らんぷりで寝ちゃおうかな。家でこの姿の光稀とふたりっきりじゃ落ち着かない・・・) 蓮から何をどう聞いたのか、あれから紫音がどんなにつっけんどんな態度をとっても、神魔はふわりと優しい表情で見つめてくるのだ。 恥ずかしくて、とてもじゃないが顔を見られない。 「お湯張ってくるから風呂でゆっくりしろよ、な?」 「・・・・ん」 風呂ならひとりで気が休まると思い、紫音は頷いた。
/248ページ

最初のコメントを投稿しよう!

438人が本棚に入れています
本棚に追加