とろけるキスを君の心に 後編

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バスタブの前に片膝をついて温泉の素を振り入れたら、紫音は身体を顎まで沈めて反対側を向いてしまった。 洗った髪をアップにしていて、後れ毛がうなじにかかっている。 (相変わらず華奢だな) けど紫音はガリガリで骨ばってるわけではなく、触ればしっとりと心地いい。肌がきめ細かくて柔らかいのだ。 温泉の素が湯に溶け広がると、なめらかな肢体は薔薇色に隠されて見えなくなった。 「君、なんでそこに座ってるの」 端まで逃げた紫音が肩越しに振り返って、咎めてくる。 照れてるのだと思えば、どんな仕草や物言いも可愛く見えて笑顔がこぼれた。 「ちょっと休憩だ。これ、いい匂いするな」 「リビングで休んできてよ。君がそこにいたら、俺出られない」 紫音に裸で堂々と出てこられたら光稀の方が動転してひっくり返りそうだ。
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