54人が本棚に入れています
本棚に追加
美姫は、薫子の肩を抱き寄せた。
「薫子。
私は、自分の力で強くなれたわけじゃない。
秀一さんへの愛情が、私を強くしてくれたの。
秀一さんを愛したこと、彼に愛されたことは......辛く、苦しい一方で、これ以上ない最高の幸せだった。
淡い思慕から始まった秀一さんへの恋心は、お互いの思いが通じあい、恋人になったことで愛情へと変わっていった。
私は彼を独占し、彼の愛情の全てを私に向けて欲しいと願うようになっていた。
深い愛情で結ばれれば結ばれるほど、離れがたくなって......お互いを鎖で縛り付けて、苦しめあっていた。
それこそが、至高の愛だと信じていた」
美姫が、切ない表情を浮かべる。
最初のコメントを投稿しよう!