54人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
薫子は苦しそうに睫毛を伏せ、細かく震わせた。
「悠、は......
あの事故、で......ッ...失明、して。
起き上がることも、寝返りをうつことさえも出来ないって......
ック遼、ちゃんが......教えてくれて。
悠、は......
私の幸せを思い......ウッ......身を、引いて......別れる事に、したって......ッグ」
シツ、メイ......
美姫の目の前が真っ暗になり、手先が冷たくなり、ブルブルと震えた。
手術室からストレッチャーで運ばれてきた悠を見た時、彼が重篤であることは一目瞭然だった。
だがまさか、視力まで失っていたとは考えもつかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!