私の、思い #2

8/22

54人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
 やっぱり悠は、薫子を嫌いになって別れを告げたわけではなかったんだ。  美姫は安堵するものの、ふたりの未来を思うと心が重くなった。  悠は、今まで薫子を守ってきた自分に代わり、彼女を庇護し、過保護なまでに愛してきた。  失明し、寝たきりの状態の悠が薫子に別れを告げたのは、彼の優しさと愛情からだと美姫には痛いほど分かった。  愛しているから。  愛しているからこそ、手放さなければならない愛もある。  美姫は秀一のことを思い出し、ズクンと胸が痛んだ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加