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やっぱり悠は、薫子を嫌いになって別れを告げたわけではなかったんだ。
美姫は安堵するものの、ふたりの未来を思うと心が重くなった。
悠は、今まで薫子を守ってきた自分に代わり、彼女を庇護し、過保護なまでに愛してきた。
失明し、寝たきりの状態の悠が薫子に別れを告げたのは、彼の優しさと愛情からだと美姫には痛いほど分かった。
愛しているから。
愛しているからこそ、手放さなければならない愛もある。
美姫は秀一のことを思い出し、ズクンと胸が痛んだ。
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