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今、美姫は、穏やかに寝息をたてて大和の隣で眠っている。
大和は、美姫の頬から首にかかる艶のある黒髪をそっと払った。
細くて白い華奢な首は綺麗で、もうあの日の痣は跡形もなく消えていた。
美姫は、記者会見が終わった後で来栖秀一に会いに行くと言った。
『俺も、一緒に行く』
その俺の言葉を拒否し、美姫は一人で行かなければいけないと言い切った。
これは、ふたりの問題だからと。
線を引かれたような気持ちになって胸が苦しくなったが、美姫の決断は固く、覆せるものではなかった。
美姫、どうか俺の元に帰ってきてくれ......
俺には、祈ることしか出来なかった。
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