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医師が去った後、薫子が呟くように言った。
「悠、どう思う?
どうしたら、いい?」
薫子は、子供のために一番いい選択をしたいと思いつつも、何を選べばいいのか分からなかった。
悠は考え込むように俯いてから、慎重に話し始めた。
「確かに、陣痛促進剤を使用することで副作用の危険性はあるけど......
それを使わなければならない状況であるってことは、それが母体にとって最良の選択だから、ってことも言えるよね」
「う、ん.....」
それでも、もし副作用が起こったとしたらと考えると、恐い。
悠は、薫子に手を伸ばした。
「でもそれは、子宮口が開かなかった時の話だから。
まだ時間はある」
「そうだね」
静音は、黙ってふたりの会話を見守っていた。
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