夜空への願い事

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ずっとずっと、願っている。 僕が僕でいてもいい事を。僕が僕でいても周りは問題なくまわっていく事を。 僕は宇宙からきたのだとたまに他人から言われるし、自分でも本気でそう思う。 タイミングを何度もみて僕は日本から脱出する。 今はニューヨークにいる。 ここにきて知る。トーキョーと違うところ。 東京のように混沌としていない。ひとが形式的でない。形式的にふるまえないひとのあがきがない。 自分は自分としてあがいている。 肌の色、瞳の色は皆違う場所でひととしてどう在るかなんて考える隙もなくて、自分の与えられた境遇、他人に与えられた境遇を受け入れながら、自分と戦いながらひととしてあがいている。 僕はここですごくきもちいい。 春分がすぎ、イースターがすぎ、ニューヨークは午後8時ごろようやく暗くなる。 夜空に願う。 僕が日本人の僕を認める事。 肌の色、瞳の色がおなじひと達といっしょにいて、僕の居場所がわからなくなっても、僕は僕でいいのだとわかる事。
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