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東京パラリンピックで堂々の金メダルを獲得した日本人選手たちの影響を受け、不謹慎ながらも、日本では「足りない」ことが美徳とされるようになった。
それは最初欠損と言うよりは弱点のような、些細なものが始まりだった。
それまでも存在していたSNSでの「足りない」コメント、要するに「二時間睡眠」「三食抜き」「すっぴん」自慢あたりが、時代の流れを巧みに汲み取る若者の手によって、「昔友達にスプレーを掛けられて右目がほとんど見えていない」「陸上で足の腱をやっちゃって普通に歩けない」といった不幸自慢に変容していった。
同情する声は多数上がっていたが、次第に同じようなものの羅列に対し、それを目にする人々は飽き飽きしていき、段々とコメント数は伸びなくなった。
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