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「ねぇ、しようよ! 僕達がお付き合いした半分の秒数、キスしよう」
「でも外だよ」
「外でするのが恥ずかしい事、なんて考えは、それこそジェットコースターの恐怖感位、固定観念だよ」
強引に私を引き寄せた彼は、私を隣へ座らせると、両手で私の顔を包み込んだ。
手を繋いだ時には感じない、不思議な鼓動が掌から伝わり、猛烈な恥ずかしさが込み上げた。
「僕たちの記念日のお祝いも込めて」
「……うん」
「ちゃんと覚えてるよね? 今日が何の日か」
「当たり前だよ」
「じゃあ、大丈夫」
そうして目を閉じると、暖かい息が私の顔に触れ、例えようのない柔らかさが、私の口に触れた。
時の流れが止まった様に。
心の中の時計が、時を刻んで行く。
暖かい太陽の光が、私達を包み込み、祝福してくれているようだ。
おしまい
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