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「うむ、案ずるでない、ご主人も快く了承してくれたぞ!」
「え、マジかよ?お前の家、かなり忙しいんじゃなかったのか?」
俺がそう聞くと、カリンはばつが悪そうに答えた。
「弟がいるのじゃ」
「弟?」
「わしには血の繋がってない弟がいるのは知ってるじゃろ?その……継がせたいらしい」
「継がせたいって、店をか?
――ん、弟って確か、まだ三歳じゃなかったか?いくらなんでも……」
「うむ、勿論、成長してからのことじゃ。どうやらご主人には、わしよりも実の子供の方がかわいいらしい。毎日接しているからよく分かる」
彼女はしょんぼりとして言った。
「……すまないな、悪いことを聞いた」
「いいのじゃよ!
そもそもわしはポーションを爆発させとるような奴に哀れまれるほど悲しんではないわい!!
それにおかげでわしは調合が勉強できるのじゃ!むしろ良かったと思ってるぞよ!」
彼女はあわてて取り繕う。だが俺には少し無理をしているように思えた。
「――そんな調合を学んでおる身から言わせてもらえば、お主のチカラ、お師匠なら役立てられるやもしれぬ!
その貴重なチカラ、ここで使わないすべは無いぞ、調合学界の輝かしき若人(わこうど)よ。
わしは毒の手を扱うお前を、ここの助手にしたらどうかと考えたのじゃ!」
急に雄弁になるカリン。
「助手だって!?
それで、お前のお師匠さんは何て?」
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