第1章 若気の至りだったんです

11/19
前へ
/328ページ
次へ
「まだなのじゃ」 「はあ!?」 「だから、まだ何も言ってないのじゃ。これはさっき突然思い付いたのじゃ!」 「おいおい」 「とりあえず、――お師匠がどう思うかは別として、少なくともお主にとっては決して悪い話ではなかろう、どうじゃ、会うだけ会ってみても? そちも家に籠ってつまらない内職ばかりしているのではそのうち頭にキノコでも生えかねん。 そこでひとつ、師匠と交流をもっておくのも悪くない。 もし弟子入りしたくなったら、そのときはわしのほうからもお願いしてみるぞよ」 カリンにしてはずいぶんと熱心なので、俺は驚いた。 俺と彼女の師匠とを交流させたい? 俺はともかく、彼のメリットはなんだろう。 だって、助手にするならもっと調合を体系的に学んだ奴の方が良いのでは? 俺なんてただの冒険者で素人同然――いや会うだけなら、なんの問題もないか―― てか、毒手があれば確かに毒薬系のポーションを素早く作れるが、それだけだぞ? 助手というともっと高度な何かこう……試薬のサンプルを管理したり……汗を吹いてやったり……? うーん、我ながらイメージが貧困だなあ。 思考が頭の中でぐるぐる回る。
/328ページ

最初のコメントを投稿しよう!

574人が本棚に入れています
本棚に追加