第1章 若気の至りだったんです

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「そうだよ、俺がこのチカラで作れるのは所詮毒物…… 回復系は駆け出し冒険者向けの簡単なのしか作れねぇ。 チカラのおかげで猛毒の調合は得意だが、こんなんうまく扱える冒険者なんてそうそういねえ。 かといって弱い毒は役に立たないから誰も持ち歩かねえ、結局俺が余ったのを自分で使う。 ……俺毒手持ちなのに!?ねえ毒手使えるのに毒薬の瓶たくさん持ち歩くってどういうこと!? あのままじゃいつか自分より弱い冒険者に『歩く非効率』ってアダ名をつけられかねん! そう思った俺は冒険は材料の採集とかいった最小限のものに抑えて日夜ポーション作りに励むようになったよ!! でもその結果がこれか!?上位の毒薬はいくらでも作れるのに使える回復薬は作れねぇ!ホーリーポーションなんてもっての他さ!! だから気分転換に趣向を変えてアシッドポーションを作ってみたら、このざまだよ!!? そうさ、どうせ俺は誰も幸せにできねえ、むしろ毒のせいでもしかしたら今にも誰かを不幸に……うううううっごめんねみんな、みんなぁ!!!!役に立たなくてごめんね小娘ェ!!」 「お、お主いったいどうしたんじゃ! もしかして、そんなに失敗を気にしてた…… よくわからないけどごめんね? この前のホーリーポーションのこと、そんなに気にしてたなんて私知らなくて…… ほ、ほらハンカチを貸してあげるから ……なのじゃ」 おい一瞬とってつけたような口調になったぞ。 「グスッ、小娘、お前優しいのかキツいのかよく分からんなぁ……ハハッ」 「誰が小娘じゃ!ワシにはカリンというちゃんとした名前があるぞ!」
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