第1章 若気の至りだったんです

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俺は彼女を追いかけた。 町外れの俺の家から町の中心部に出て、薬屋も越えて、橋を渡って、さらに走るわ走るわ。カリンは疲れないのだろうか。 一軒の建物の前でおもむろに彼女が立ち止まる。その家にはまだ新しい看板が取り付けられており、それには 『ファルガーモ魔道具研究所』 と書いてあった。 どうやら彼女を追ううちに、目的地に着いてしまったようだ。それにしても、町にこんな研究所がいつの間に出来たんだ? 「ここじゃよ」 カリンが胸を張る。 「ちいせえな」 「なっなにを破廉恥な! 女性に対してその言葉は許されんぞ! お前、将来性という言葉を知らぬのか?あ?あ?」 「いや、何の話だよ。 研究所って割にはちっぽけだな~、と」 「どっちにしろわしかお師匠に失礼じゃな」 「それで、この研究所のやつと俺を会わせてどうすんだよ? そもそもお前師匠なんていたのか?」 「うむ、わしは薬屋の娘ではあるが、もっと調合のことを学問的に深く学ぶため、ここに弟子入りしとるのじゃ」 「そんなことして薬屋のご主人は大丈夫なのかよ」 カリンには薬屋の手伝いがあったのではないか。
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