世界の半分

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「108-b」 光源を背中に、男は言った。 「これの意味は何だ」 「待て。まずそれをどこで聞き、またどうやってここを突き止めたのか、先に聞かせてもらおう」 髭面の男は仁王立ちしたまま動かない。気圧されたのか、男はまた少し後ずさりし、答えた。 「ウィーンの旧分子病理学研究所から頂いた。戦火に飲まれて今じゃ廃墟同然だが、そこの廃棄されたデータベースの中から、世界中に点在する旧欧州連合資本の同系統の研究施設の位置を示した座標を引き出した。その中で太陽光、及び地熱発電システムを採用し、半永久的に可動し続けられるような設備を整えている施設はアルプスの1ヶ所と、ここしか無い」 「ほう」 大柄な男は一言呟くと、感心したように頷く。 「真実は常にそれを追い求める者達の元にしか訪れない。よろしい、ついて来い」
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