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3つ目の半分
「お前に世界の半分をくれてやろう」
「いやよ、たった半分なんて」
「贅沢を言うな。半分でも人の身には十分すぎるほどだろう? それとも私と戦って、全てを奪うつもりか?」
「ええ、ある意味戦いね。でもそれでもいいの。私は勝てる自信あるから」
「ほう、そうか。ならばその美しい顔を恐怖に歪ませてやろうか。さあ、さっさと武器を構えろ。決着をつけてやろう!」
「武器は要らないわ。あと、戦うって言っても剣や魔法で争うつもりはないわ」
「なに? どう言う意味だ?」
「簡単よ、私の負けでいいの。もし世界の全てを支配したいというのなら、好きにすればいいわ。その代わり、私には違う世界を全て欲しいの。それさえくれれば、私は何も抵抗しないわ。なんならあなたに従っても良い」
「違う世界? 一体何の話をしているんだ」
「私は、あなたの見ている世界が欲しいの。あなたの心の中の世界に、私だけを住まわせてほしいの」
「……え?」
「一目ぼれよ。あなたの世界を私にください。半分と言わず、全てを。そうしたら、あなたの従います。ダメかしら?」
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