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4つ目の半分
「お前に世界の半分をくれてやろう」
「え?」
「いや、だから世界の半分を……」
「ああ、それはいいんだけどさ。世界の半分って、具体的にどこ?」
「ああ、まあ具体的にはまだ決めてはいないが、この地図のここら辺から半分に切って、こっち側を私が、そっち側をお前が……」
「はあ、世界の半分、ねぇ」
「……なんだその曖昧な返事は。で、どうなのだ? 世界の半分が欲しいのか、それとも私と戦うのか!?」
「あ、いや、別に戦ってもいいんだけどさ。なんていうか、スケールが小さいなぁと思って、ちょっと落胆してたっていうか」
「は? スケール? 何の話だ」
「いやさ、お前が『世界の半分をくれてやる!』なんて大げさなこというから、てっきり宇宙も含めた全ての世界を支配することを目論んでるのかなって思って、ちょっとびっくりしてたんだよね。でもいきなり世界地図を開いて『ここからここまで』みたいなみみっちいことやりだすから、さらにビックリっていうか……」
「う、宇宙だと? それは、この夜空に瞬く星々も手中に収めるということか?」
「そう! 宇宙って凄いよね。俺たちが見ているこの広大な世界が、ほんのちっぽけな片隅でしかないんだってさ! その全てを手に入れて、しかもその半分をくれるって聞いたから余りの衝撃で放心しちゃったくらいだよ! あ、ごめん。そこまでは視野に入れてないんだっけ。普通にこの星の半分だけだっけ。なんか変に期待かけちゃったみたいでごめん……」
「……いや、間違ってないぞ」
「え?」
「わ、私はこの星々の全てを手に入れて見せる! そして勇者よ、お前が私の仲間になるというのなら、その半分を貴様にくれてやろうじゃないか!!」
「ま、まじかよ! 魔王、お前凄い奴だな! そんなでっけぇこと考えてただなんて! 俺尊敬するよ!」
「ま、まあな。ガ、ガハハ、ガハハハハハッ!!」
「わかった、仲間になる! 一緒に頑張って宇宙の全てを手に入れような!!」
----数年後----
「魔王、ヤバイ! 金星人の連合艦隊が攻めてきた! このままだと銀河のX100以上の支配下が奪還される! どうしよう!?」
「うろたえるな勇者よ! 私とお前ならやれる! さあ、一緒に最強魔法を唱えて牽制をしつつ突貫だ!!」
「わかった魔王! うおおおおお!!!」
「どりゃあああ!!!」
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