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もちろん、上半身を起こして寝ることにも理由はあった。普通の人なら「疲れとるんだからしっかり倒して寝ればいい」とか批判するだろうが、彼女は考え方が違う。「インターフォンが鳴った時、わざわざ体を起こす動作がめんどくさいだろう。だからこうして寝れば体を動かせば出れる。こんな素晴らしい寝方はないだろう」とかつてその姿勢のまま起きてる際に言われた。彼女はその姿勢で寝てる際に首を動かしたりとか体に負担になることなく石像のような感じで体が固定して寝てしまうらしい。彼女の幼少期が気になるぐらいだ。どんな寝方をしたのだろう。
「何、私をそんなに見つめて思い返しておる?」
いつの間にか目を覚ましていた彼女が近くに来て私の顔をじっくりと見る。
「はう!!」
「おぉ、エビが尻尾で砂を飛ばすような動きしたぞ。かわいいな」
「へ……変なこと言わないでしっかりしてくださいよ。依頼届いてましたよ」
「おっ、さすが私の自信の弟子だ。ちょい、待ってな」
すると彼女はTシャツを脱ぎ捨てて新たなTシャツとスカートを出す。集中したい時には半分ではなく、きっちりこなすのも彼女の魅力である。
彼女は木で出来た丸い机を囲む椅子に座るなり、両手を組みそこに顎を当てて言う。
「さぁ、お遊びの時間だ。君も座りたまえ」
「はい」
私は彼女に促されるがままに目の前の椅子に座る。
「それで依頼内容は?」
「依頼主は関口敦という男性で突如見つけてしまった半分の死体と謎の暗号を解いて欲しい。警察にも連絡しましたが、次々と不幸な出来事が起きまして解決できていないそうです。例えばパトカーが崖から落ちて現地に付けないなどらしいです。呪いですかね?」
「呪い……ふむふむ。面白い。場所は書いてあるよね?」
「はい。少し遠いですが、歩いてでも行けると思います」
「よし、バイクで行こう」
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