英雄の遺志

55/62
458人が本棚に入れています
本棚に追加
/1590ページ
霍去病は自分が死の世界の淵に立っていることが理解出来た。 くるぶし程の深さ川の中に自分はいる。 そして、ただ暗闇の中を歩いていく。 黙々とひたすらに。 何故だろう。 死の淵にいるという事を理解しているだけで 頭の中に靄がかかっているみたいにボーとする。 暗闇の中で水を踏む音だけが鳴り響く。 声がした。 聞き覚えのある声。 混沌した世界に 劉徹の姿が映し出された。 陛下… 映し出された劉徹の姿は 少年のような無邪気な笑顔を浮かべている。 そうか。 俺が死ぬという事は 多くの人を残して逝くという事なんだ。
/1590ページ

最初のコメントを投稿しよう!