力の帰還

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昨年、丞相の田ふん (でんふん)が死去した。 御史大夫の韓安国(かんあんこく)を丞相にと劉徹(りゅうてつ)は考えていた。 しかし、韓安国は、馬車から落ち足を悪くした。 それ以来、韓安国は、足を引き摺るようになり 老いが一気に彼の精神と体を蝕み始めた。 韓安国が内に秘めていた炎は消えかかっている。 興味が失せた。 面白みのない男であるが 仕事は、それなりにこなし帝である自身の 思いもそれなりに汲み取るので薛沢(せったく)を丞相においた。 人には、誰しも光を宿していると劉徹は思っている。 それを自身は炎と例えている。 その炎は、 人が放っている意思の力や想いなどによって 在り方が違う。 より強い意思、想いがある者ほどより 紅く炎を染め上げるのだ。 今、まだ完全に大炎とはなっていなが 溢れんばかりに炎を躍動させている男がいる。 それが衛青である。
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