第4話 『現在』

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私、奥山エリはまた不機嫌だ。 「信じられない 信じられない 信じられない 信じられないわ ! ! 見知らぬ男に声をかけるなんて下品よ。ナンセンスだわ! しかもこの奥山エリの使用人に…」 この不機嫌の理由は私がお店でランチをしている間に、2人の女性がめぐに声をかけていたからだ。 「お前もお前よ!?あんな下品な女と親しく会話して…たがら店までついてきてほしかったのよ。一緒にランチを…」 「お嬢様。」 私の怒りの言葉は「お嬢様」という言葉でさえぎられた。 「オレみたいな使用人と席を一緒にしてはいけません。それにオレは、お嬢様とは住む世界の違う普通の“一般市民”です。」 めぐのその言葉に、私は怒りすらきえていった。 「やっぱりそういうのね…」 私はめぐと対等な関係でいたいのに。 どうしたらまためぐと素直に笑える日が来るのだろうか…? あの日以来、氷のように冷たくなっためぐを溶かすことは出来るのだろうか…? そんなことを考えているうちに家に着いた。 家で雇っているメイドさんが、 「お嬢様。お父様から呼び出しがかかっています。」 とおしえてくれた。 私はまだ、この後起こる転機をまだ知るよしもなかった。
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