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「なんで?そんなに鈍感なのよ唯人って」
「え?何が……」
そんなやりとりに耳が向くと、どうやら怒る彼女の事が分からなくて男性が溜め息をついている。
すると目の前の彼女の眉が吊り上がるのに、彼にはそれさえも何故なのか分からないのか困惑している。
「た、溜め息つきたいのは私よ?こんなつまんないヤツともう付き合えないから!」
そのうち女性がカシャンとテーブルに叩きつけると、その叩きつけられたものがそばに立っていた私の所へ落ちた。
それは、カシオペア座を型どったネックレスだった。
「星なんて、私は興味ないのよ!さようなら!」
立ち去る彼女を呆然と眺める男性は何かを考えていたのだろうか。虚ろな目だった。
足許に落ちてきたから迷ったけれど、そっとそれを拾い上げる。
あぁ、カシオペア座だから気に入らなかったのかな?
そんな風にどこかで思いながらお冷やのお代わりと共にそれをテーブルに乗せ、ポソリと呟く。
「カシオペア座が気に入らなかったんですかねぇ」
「え?」
「あ、いえ……もしこれが12星座とかなら投げ捨てられなかったのかなぁなんて、出過ぎた真似でしたね、申し訳ありません」
驚いた顔の男性は黒縁眼鏡に少し色白で唇が綺麗に赤かった。
それは口紅ではなく自然な色だろうけれど、男性にしてはきれいなその唇を眺めてしまった。
「星座のせいでフラれたか……な」
違うとは分かっても話にノったらしい彼に唇を引き上げ微笑んで見せる。
(そう、だから落ち込まないでくださいね?)
「はい、きっと……そうですよ 」
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