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「ねえ、ひろしさんってば。聞いてますぅ?」
と口を尖らせた。
「聞いてるよ。まったく、おめえはよくしゃべるなあ。まあ、おかげで眠気が吹っ飛ぶけどさ。」
「だって、ひろしさん、一言も口聞かないんだもの。機嫌悪いのかと思いましたよ。」
「俺は、元々こうなんだよ。悪かったな。」
「でね、その女に会いに行く約束して、早めに行って、ほんとうにあの子が来るかどうか陰から見てたんですよ。」
ひろしは苦笑いした。俺も若い頃、こんなに必死だったろうか。
ひろしは、高校の時から付き合っていた、今の女房と高校卒業と同時に結婚したから、翔のように女に執着したことは無かった。
「そしたら、本当にあの子が来たんですよ。あのプロフィールは、正真正銘、あの子自身の写真だったんですよ。」
「おお、良かったじゃねえか。で、その子とは、うまく行ったのか?」
ひろしは仕方なく、相槌を打ってやった。
「これがですね、聞いてくださいよ!」
さっきから聞いてるっつうの。
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