半分あげるから

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半分あげるから

「うおおおおお!?」  1K、8畳の洋室に俺の悲鳴に似た絶叫が響き渡った。  直後、隣の部屋の住人に壁をドン! と、殴られた。  俺は見えない隣人へ頭を下げると、もう1度今見ていたスマホの画面と数字の羅列が印字された紙切れを交互に見た。  今度は無言でゴクリと唾を飲み込んだ。 ――当たってる。  1年前。  何の気なしに3000円分買った宝くじが当選している。  いや、いつも全く掠らないということも無い。……300円程度だけど。だから今回もそんなものだと思って今の今まで確認していなかったのだ。  だが、今回は桁が違う。  信じ難いが、1等の5億だ。  5億だぞ? 一体この部屋が何個買い取れるんだ……いかん、スケールが小さい事しか思い浮かばない。  取り敢えず、親に電話か?  ……いや、卒倒しかねない。  彼女に連絡?  ……俺に彼女なんていなかった!  落ち着け。  目の前のローテーブルに置かれたコップの水を飲み干すが、カラカラに乾いた喉はまだ水分を欲している。  だが、ほんの少しだけ冷静になると当選金の引き換え期間を確認した。 「今日までかよ!」  もはや考えている余裕などなかった。     
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