私と彼

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私と彼

私は流星群と話を聞いたなら、 すぐに見に行く。 私の願いを叶えてもらうために。 「どうか、私に良いところをください」 些細なことでいい。 他人より秀でているところ。 それがほしい。 それを教えてほしい。 みんなが持ってる、特別を私にも…。 その春の日の夜も、 いつもと同じだった。 自分の家の屋上に上がって、 首が伸びるのを感じながら 星を探していた。 ふと、私はそれらを、 月に気づかされた。 彼とは、家が隣の幼馴染み。 名前はみのる。実と書いてそう読む。 小学生から高校まで一緒。 静かで、大人しい性格。 だから、表だったことなんてしないけど 私の友人関係の相談に乗ってくれたり、勉強を教えてくれたりもする。 一言で、いいやつ。 盛り上げる役とかはしないけど、 誰かが話しかければ 普通に返してくれるし、 頭もいい。 「まだ、見てるの。風邪ひくよ?」 隣の屋上からする声は 月に似た彼だった。 「はいはい、そろそろ諦めるよ。」 彼は呆れたような顔をしている。 私は言うとおりに、 諦めて部屋に入った。
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