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流星群ピークを
観測するために外に出ると、
私は綺麗な月が目に入った。
満月でもないし三日月でもない。
半分より少し膨らんだ月だった。
春の日の夜は
冬より少し白を混ぜた明るい夜だった。
その中でより白く輝く月。
私と彼は永遠に届かない距離だけど、
しっかり小さくて白い光は届いた。
いつの間にか見とれていて、
星なんて気にならなかった。
少しすると一度、風が強く吹く。
乾かしたばかりの髪の毛は
視界を覆った。
髪を結んでから、視線を戻すと
光の近くに大きな雲が
近づいていることに気がついた。
隠れてしまう、と反射的に思った。
落胆と、少しの不安が私を包んだ。
しかしそれは、流れる雲のごとく。
大きな雲を透かして、
その形と光は私に見えた。
強いなと、思った。
太陽の力を借りる月が、
あんなにも強いとは思わなかった。
闇に包まれ、雲にも覆われる月は
太陽に照らされ、
見守られているのだと、感じた。
私なんかより、
強くて、
頼られているのだなと、気づいた。
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