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明かりがついて目の前に飛火が浮かび上がる。 初めて機体を見た時の喜びがまだ胸の奥で沸き上がる。 「操作はどうですか?プロペラの滑りはもう少し軽くできそうですが」 「いえ、このままでオーケーです。軽くなってしまうと乗せられている感じが増してしまいそうです。」 「でも、重たく感じませんか?」 「重たいです。でも今はそれが心地いい。この感覚をもう少し身体に馴染ませておきたいので。」 「なるほど。わかりました。」 三崎さんはにっこりと笑う。 「コーヒーいれますね。」 「あ、いや、」 「あ、ミーティングですか?」 「いえ、ウイスキーをいただいても?」 三崎さんは少し驚いたあと、また笑った。 「ええ。」 そう言って作業部屋に入って行った。
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