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早朝の出発にも慣れた。
イーリック部隊とノイトリック部隊併せて15機で敵地へ向かう。
別の基地からは30機来るらしい。
今日はキャノン海での最後の対戦だ。
ミーティングでも珍しくマントさんが「なんとしてでも勝利せよ!」と言っていた。
「いいか、ジャック、待ちすぎるな。しっかり見極めるんだ。」
「はい。」
コークさんが無線でジャックさんに言っている。
正直なところ、ジャックさんが何故今日まで生きてるのか不思議だ。
いつ墜とされてもおかしくない飛び方をしているのに。
攻めるのも逃げるのも下手だ。
俺は夏原の方を見た。
遠くて表情は見えない。
白んだ空気が青く澄んでいく。
下には朝日に煌めいている海。
今日は何機がこの海に墜ちるだろうか。
俺が墜としてやる、誰よりも。
予定ポイントよりもだいぶ手前だが、俺は首をひねって辺りを見渡す。
来い、来い、と心の中で敵を待つ。
いつどこから来ても最速で俺が墜としてやるんだ。
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